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プレゼントを見て弾ける笑顔。
ああ・・・コレが見たかったんだよなぁ、オレ。もうすっげぇカワイイし。


「着けてみていい?」

ちょっと苦い感動を噛みしめてる間に、アンタってば自分で指輪、はめようとするもんだから

「ええ、それはないでしょ!」

慌てて彼女の手からキラキラ光る指輪を取り上げた。

「こーいうのはカレシの役目でしょ。違う?」

片目を瞑りながらイタズラっぽく言うと、途端にピンクに染まるアンタのほっぺ。
ああ・・・もう、食べちゃいたいくらいにカワイイんですけど。



大好きなちゃんのちっちゃな手をとって、今回はソコで決まりでしょって左手の薬指。
ちゃんと付き合って初めてのクリスマス。
この指に指輪をはめるのは、カレシであるオレだけに許された、スペシャルイベントなわけですよ。



・・・だっていうのに、さぁ。



「・・・ニーナ?」

よみがえってきた・・・ホントは忘れたフリしてた、もやもやが一気に押し寄せてきて
うっかりフリーズしちゃったオレを、なんでそうなんだよ?ってくらいキレイな瞳でアンタが見上げてくるから。



「・・・着けたくねぇ」

思わずポロっと本音が零れた。




「・・・どうしたの?」

オレの言葉を聞いて、ちゃんは思いっきり戸惑った顔をする。
そりゃそーだ。着けたいって言ったのは他でもないオレなんだから。



「着けたいし、着けて欲しいけど・・・やっぱ、着けて欲しくねぇ。
ハァ・・・。オレって、超ちっちぇ〜」

正直、情けなくて涙出そうなんだけど、もうオレ、アンタの前でうまく言い繕うことなんてできないから
素直に気持ちをぶちまけた。



ホントは自分が作ったリングを贈るつもりだったこと。
いくつも作ってみたものの、満足いくものなんて出来なかったこと。
それでも、アンタの左手薬指にオレの彼女だって証を付けたかったこと。
この指輪は、真剣に、アンタのためにって選んだプレゼントだけど・・・



「・・・けどやっぱ、他のヤツが作ったもん、アンタに着けて欲しくない。」

握ったままになってたアンタの指に、束縛するように唇を押し付けた。
こんなの、ただのみっともねぇ独占欲。


「・・・なーんて、ムリだってわかってんだけどさぁ。マジごめん!」

目を丸くしてオレを見てたちゃんを、これ以上困らせたくなくて。
ありったけのプライドかき集めて、彼女の指に他の誰かが作った指輪を近づけた。

するりと苦もなく、アンタの指に納まる指輪。
・・・うん、やっぱりアンタによく似合う。



「・・・・ありがとう、ニーナ。」

ちょっと困った顔で、けどすっげぇカワイイ大人な笑顔を浮かべる彼女。

「うん。でも覚えといて?こんなのほんの序の口だから。」

「序の口?」

「そ。いわば前座。ちゃんとしたのは絶対オレ作だから。
こんなもんで満足したりしないよ〜に!わかった?」

「う、うん。わかった。」


ちゃんとしたの、って。・・・うわ、コレって結構大胆なセリフだったかも。
・・・まあ、嘘じゃないからいいよな?
それに、肝心なことには鈍いアンタは、そんなこと気付かないと思うし?


「でも、嬉しいよ?ニーナの気持ち、全部。」

・・・ホラ、アンタはそうやって笑うから。
情けないオレも、みっともねぇオレも、全部受け入れて笑ってくれるから。



「・・・そ?んじゃ、ご褒美ある?」

「あ、うん!あるよ・・・」

案の定、オレのおねだりにプレゼントの包みを取り出すちゃんを制して、桜色の唇に口付けた。

「・・・っ!」

「・・・言っとくけど、これもほんの序の口だからね?」



ヨユーぶって囁いた言葉より、オレの心臓の音のがよっぽど響いてた・・・なんて

オレってマジ純情。







Melancholy

before
Merry Christmas




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